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投資家を悩ませる世界的な不動産バブル

2023.02.22公開

富裕層すら息を呑む、「狂った」マンション価格

「この地域は相変わらず狂っています」

知り合いの投資家Nさんが、不動産の折込チラシを持ちながら言った。

覗くと、86,000万円、69,000万円、59,000万円という数字が並んでいる。たまに出てくる1億円台が、安い掘り出し物のようにさえ見えてくる。

この地域と彼が呼ぶのは東京・赤坂だ。昭和59年に完成した、築37年のマンションでさえ、99.87㎡で23,800万円で、坪単価で見ると787万円をつけている。築20年前後なら、坪1,150万円という売却事例もある。

「バブルっすね」

Nさんの友人で同じく投資家のHさんがいう。そういうHさんも、折込チラシをひらひらさせ「ありえない、ないない」と何度も首を振るNさんも、その狂ったエリアで、億ションのタワーマンション高層階に住む住人だ。Hさんが平成18年に17,250万円で購入したマンションは、16年たった現在、39,800万円の査定をつけている。2.3倍の値上がりだ。爆上がりした自宅以外にも、収益用不動産を複数所有し、働かなくても生涯生きていける資産を築いた二人。そんなご両人であっても、こうした数字は異常値だという。 

コロナと戦争が加速する世界同時バブル

「今回は昭和61年~平成3年の日本で巻き起こったバブルと異なり、世界同時発生のバブル。背景にはコロナと戦争があります。日本だけのバブルと比べて規模範囲が異常ですから、弾けた時の大きさも想像を超えます」。

こう語るのは、世界各地の不動産に投資するMさんだ。Mさんは、バブルの終焉に備え、少しずつ不動産の売却をスタートさせた。

Mさんいわく、「日本よりも海外の値上がりは著しい」という。ドイツで所有した賃貸住宅は、今年2月に1棟売却し、もう1棟も7月に売却した。イギリス、フィリピンの物件も売却予定だ。6年近く保有し賃貸に出していたが、購入時とほぼ同額か、少し高く売却できているという。

 見極めの難しい不動産バブルの終焉

不動産も株もそうだが、儲けの鉄則は、安く買って高く売ること。ただそのタイミングが難しい。

Mさんの話しを聞いた時、アパホテルを思い出した。アパホテルは、不動産会社として創業したが、創業者で社長の元谷氏が、バブル崩壊の気配をいち早く嗅ぎ取り、崩壊前に不動産を売却。その後、バブル崩壊で暴落した土地を、売却で得た資金を原資に買い漁ったと言われている。

現在も、コロナで経営不振に陥ったホテルを次々に買収し、ホテル業界におけるシェアを増やしている。不動産業界のバブルはいつまで続くのか、見極めるのは容易ではない。

※本記事は「武蔵TIMES 令和4年/10月号 vol.102」(発行:武蔵コーポレーション)に掲載された「吉松こころの不動産最前線」に加筆修正を加えたものです。