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相続・不動産TOPICS「タワマン節税」が規制対象に。2024年1月から新ルール適用見込み

不動産購入による相続税の節税

タワーマンションの相続税評価額と市場価格との大きな乖離によって相続税を減少させる、いわゆる「タワマン節税」。現金を不動産に換えて評価額を圧縮する手法は相続対策の王道ですが、その不動産がタワーマ
ンションの一室となればさらに高い節税効果を見込めます。タワマン節税により3億円の追徴が課された2022 年4 月の最高裁判決をはじめ、「いきすぎた相続対策」が横行したことから、国税庁が新たな相続税算定ルール案を公表しました。

新ルールは市場価格の6割

 国税庁の検討会議でとりあげられたマンション節税事例を下の表にまとめました。東京都の例では相続人が子一人の場合、相続税負担12 万円で約1.2 億円の財産が手に入ります。(現金1.2 億円の相続では相続税は1,820 万円)
 新たなルールは、マンションの相続税評価額が市場価格と乖離する理由である「総階数」「所在階」「築年数」「敷地持分狭小度」の4 つの指数を補正することで、相続税評価額が市場価格の60%に達しない場合60%に達するまで評価額を補正するというものです。従来の評価ではこれらの指数を考慮しなかったために1 階であろうと50 階であろうと同じ評価額になっていました。
 新ルールによって、市場価格と相続税評価額が大きく離れていた物件では、市場価格の6割程度まで評価額が上がることになります。6割の基準は、戸建ての平均乖離率1.66 倍に合わせて設定されました。上記の東京都の例を新ルールに当てはめると、相続税評価額は7,140 万円、相続税負担は508 万円となります。

対策は年内の「駆け込みマンション贈与」?

 節税幅が狭まることになるとはいえ、引き続き一定の効果を発揮する節税方法ではありそうなタワマン節税。新ルールはパブリックコメントの募集を経て2024 年1 月開始となる見込みですが、その前に下記のポイントをおさえつつ、マンションの贈与を検討してみるのも良いかもしれません。万人に適した相続対策は存在しません。どの対策にも長所と短所がありますから、自分に合った対策を実行すること、またはしないことのリスクとコストを見きわめることが大切です。

Point!!
・2024年1月以降の贈与が対象となる、生前贈与の新ルール

・マンション贈与が相続や相続税に良い影響を与える可能性が高いケース
 ・将来価値が上がる可能性が高い
 ・マンションが収益を生み出している
 ・夫婦間の贈与で贈与税の特例を適用できる
 ・法定相続人以外の人に不動産を取得させたい意向がある
マンション贈与が相続や贈与後の不動産に良くない影響を与える可能性が高いケース
 ・贈与後まもなく相続が発生する可能性が高い
 ・贈与後のマンションの管理能力が受贈者にない
 ・贈与しなかったときの相続税より贈与税が高額になる
 ・遺産分割協議でもめる可能性がある

参考:フジ相続税理士法人 相続・不動産の情報誌 爽風 2023、秋号 https://fuji-sogo.com/