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空室対策の基本 ④家賃は簡単に下げてはいけない

物件に大きな問題はなく、ポータルサイトにも物件情報は掲載されている。不動産会社も空室を気にかけてくれている。なのにどうしても入居が決まらない。こういう場合、一体何が問題になっているのでしょうか?

その物件を内見もしたのに契約まで至らない場合、2つの理由が考えられます。

(1)実際、内見しての評価

(2)問題はなかったけど、予算が合わない

1)の場合は、物件のポテンシャル(立地環境とか、実際の建物の状態など)の問題ですので、もう一度物件の問題点を改善する必要があるのかも知れません。物件が選ばれる商品になっているかどうか再確認してみてください。

ここで考えたいのは、(2)の家賃設定や入居時の費用のケースです。

物件を気に入っても、入居者が払える家賃でなければ借りられないことがありますし、物件は悪くないと思っても、この家賃を出すほどではないと感じれば、やはり契約に至らないでしょう。

つまり、商品と価格が見合っているかどうか、その価格を払えるかどうかで、人は購買判断をするのです。

だから、空室が長引くと管理会社から「築年数も古くなってきたので、そろそろ家賃を下げないと厳しいですよ」と言われたりすることがあるのです。

ただし、ここはよく考えてください。注意が必要です。

家賃の値下げは、売上が減少することであり、収益も減少します。企業経営も同じで減収減益を良しとする会社はないでしょう。どの企業も通常は増収増益を目指します。そのために、必要な設備投資を行いながら経済活動を行なっています。ですので、家賃を下げる検討は最終手段であり、できるだけ減収減益にならないような手段を考えていかなければなりません。

繰り返しになりますが、空室だからと原因の検証もしないで家賃を下げるのではなく、先ずは入居募集が適切になされているか、そして時代や地域のニーズに合った商品(物件)であるか、それが相応しい価格(家賃)で設定できているかを総合的にチェックしなければなりません。これは何よりも重要で難しい経営判断が必要なのです。

賃貸事業の経営戦略とは、「なに」を「誰」に「どうやって」提供するか、つまり「この部屋」を「どんな属性の入居者」に「どうやって知ってもらって契約」するか、これを考えることです。

すべて同時に考え総合的に判断しなければなりませんが、あえて順番をつけるとしたら、

(1)どういう募集をしているのか、ポータルサイトへの掲載状況の確認と対応

(2)物件の間取りや設備などが、その地域の特性や入居者ニーズに合っているかどうか

(3)物件の周辺で競合しそうな類似物件の家賃と自分の物件の家賃の比較

を総合的に調査し判断していくのが、空室対策の原則なのです。

詳しく説明しませんでしたが、費用に関しては家賃だけではなく、敷金や礼金、ADと呼ばれる広告料、フリーレントと呼ばれる家賃を無料にする期間など、入居者に関わるお金は色々あります。

どうしても、「もう家賃を下げた方がいい段階かな」と思ったとしても、それでもまだ下げないでください。敷金や礼金を下げる検討が先ですし、まだAD(広告料)を増やす検討が先ですし、まだフリーレントをつける検討が先です。

家賃を下げるのは、いろんな対策や改善をしても入居がない場合の、最後の、最後の、最後になりますが、それでもまだ家賃は下げず、粘り強く家賃を下げない方法を考えて欲しいと思います。

難しいかもしれません。でも、それが賃貸経営なのです。

 


 

今回で、このシリーズ「空室対策の基本」は終わりです。空室の原因を中心に説明してきましたが、いかがだったでしょうか。空室は物件が築古だからとか、家賃が高いからだとか、そんな単純なものでないことがおわかりになったと思います。

これらがわかれば、空室対策の基本知識は十分だと思います。今後は、具体的対策などを発信していきたいと思います。

ユーミーマンションで改善できない空室はないと思っています。空室は商品です。空室が収益に変わるよう、また次のシリーズで一緒に学んでいきましょう。

YMサロン編集部)