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相続専門税理士の「相続の花道」~「相続・不動産分野、誰に何を頼みますか?」

2022.09.28公開

こんにちは。フジ相続税理士法人の髙原誠です。
今回の相続の花道は、相続分野・不動産分野で活躍する代表的な専門家をご紹介したいと思います。
税理士・不動産鑑定士はもちろん、そのほかの専門家も関わってくることから相続・不動産分野の幅広さをご理解いただけると思います。

ご自身の置かれている状況から整理

 相談相手を選定する前に、まずは状況整理と問題の把握から始めましょう。
置かれている状況は相続前なのか相続後なのか、税金の要素は絡んでくるのか、どんな財産をどの程度所有しているのか、親族内で相続争いが起きる可能性はあるのか。
これらの要素を整理し、解決すべき問題に優先順位をつけてから相談相手を選ぶことが重要です。

相談相手は状況別・目的別に選びましょう

     

     上に相続に関わる専門家の主な取扱業務をまとめました。
     相続税申告は税理士、不動産登記は司法書士というように特定の専門家が担う業務もあれば、遺産分割協議書の作成など複数の専門家が関わっている業務もあります。
     相続・不動産分野は、それにかかわる法律が多岐に渡る上、期限の設けられた手続きも多いことから、専門家同士の連携がスムーズに行えるかどうかが進行のカギとなります。
     連携を得意とせず単独で業務を行う事務所を相談相手に選んでしまうと、方向性やアドバイスが偏ったものになってしまったり、対応に都度、時間を要してしまい、依頼者は「期限内に手続きが終わるのだろうか?」と心労を募らせることになるでしょう。
     

    相談相手が誰であってもまず必要な情報は二つ

     相続に関連する相談で、可能な限り事前に準備しておいたほうがよいのは、①家族関係図と、②保有財産の情報です。
    家族関係図はメモ書き程度の簡単なものをご準備いただければ十分です。保有財産は金融資産や債務であれば、それぞれのおおよその残高や取引先(金融機関名など)を記したメモ、不動産であれば最新年度の固定資産税課税明細(名寄帳)があればひとまずは状況が把握できます。専門家に相談する際には、最低限これらの資料を準備しておくと、スムーズに進行できるはずです。
     

    弁護士・司法書士・行政書士の違い

     ここで、誤解しやすい専門家の基礎情報をお伝えします。相談相手を選ぶ際にお役立てください。
    法律の専門家である弁護士・司法書士・行政書士ですが、それぞれに守備範囲が違います。弁護士は代理人として他者と交渉・手続きをすることが認められていますが、司法書士と行政書士は代理人となることは原則として認められていません。
     司法書士と行政書士は、「書士」とあるように書類の作成代行(=法務手続き)が認められています。
    二者の違いですが、司法書士は法務局・裁判所に提出する書類の作成代行を本業とし、行政書士は市区町村役場・行政機関に提出する書類の作成代行を本業とします。遺産分割協議書の作成は司法書士・行政書士のどちらでも作成することが可能です。

    アドバイス料=別報酬と考えてください

     専門家の性質には、それぞれが所属する事務所の経営方針・運営方針が影響していることもあります。
    例えば税理士事務所の場合ですと、「申告書の作成によって売上を作る」という方針の事務所と、「節税などのアドバイスをすることで売上を作る」という方針の事務所に大きく分かれます。
    税理士に専門的なアドバイスを求めているという場合は、前者の事務所に相談してもミスマッチ。後者の事務所であれば、申告書の作成に加えてさまざまな提案をしてくれるでしょう。
     報酬に関しては、基本的に後者の事務所の方が高く設定されていますが、金額に惑わされず目的に合った相談相手を見極めることが大切です。求めるものが「とにかく報酬は安く。申告書の作成だけお願いしたい」なのか「アドバイスがほしい。相談相手になってほしい」なのか、ご家族との話し合いで方向性を定めることが第一です。 

    誰に何を頼むべき?早めに情報の共有を

     現代の社会問題として知られている「8050問題」というものがあります。これは、高齢の親(80代)が中高年の子ども(50代)の生活を支えざるを得ない状況を指して問題視していますが、相続や不動産の世界でも同様の問題が存在していると思います。
     相続・不動産の「8050問題」、それは「高齢の親が子どもに所有不動産の情報を引き継がないまま相続が発生してしまう」というものです。相続手続きと慣れない不動産管理に追われた子どもは期限ギリギリになって慌てて初見の業者に助けを求め、言われるがままに手放さなくても良い土地を手放してしまうことに……。
     このような不本意な事態を防ぐためにも、所有不動産に関わる情報は今のうちに整理してまとめておくことをおすすめします。また同時に、いざというときに頼るべき専門家の存在を共有しておくことで、お子様方の相続の不安を軽減することができるでしょう。

    参考:フジ税理士法人 爽風 2022,1月号 https://fuji-sogo.com/